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臨床研修体験談(鍋嶋 洋裕 先生)

指宿医療センターでの研修を終えて(研修期間 H24.7~H24.8)

九州医療センター 二年次研修医 鍋嶋 洋裕

 九州医療センター臨床研修プログラム内の地域医療の枠で指宿医療センターで2ヶ月間の研修をさせていただき、かけがえの無い経験を数多くさせていただきました。7月から8月の2ヶ月間にお世話になった感想を書かせていただきます。

 そもそも私が地域医療研修先で指宿医療センターを選ばさせていただいたのは、

  1. 循環器内科医志望であり指宿医療センターが循環器に力を入れている病院だと伺っていた
  2. プライマリーケアを学ぶのに1ヶ月間ではあまりに短いと考えており、九州医療センターでは指宿医療センターのみ2ヶ月間研修できる
  3. 学生時代を過ごしたことのある鹿児島にもう一度住みたかった

などが理由でした。いずれの点においても良い意味で期待を裏切られる毎日でした。

 まず7月は循環器内科をローテートさせていただきました。設備という点で恵まれた病院でしか働いたことの無い私にとって、カテーテル室が無い循環器病院がどのような診療をされてあるのかは全く想像がつきませんでした。しかしそれを補っているのは、働いている先生方の臨床力なのだとすぐに気がつかされました。患者さんを隅々まで見る目であり、聴診する耳、行える検査で最大限診断に近づけるためのアイデア・思考力、患者さんの本当の意向を汲み取るインフォームド・コンセントなどなど、今まで電子カルテに向かってばかり働いていた私には圧倒的に足りていない手間・能力をまざまざと見せつけられました。 今年度中に念願のカテーテル室も増設されるとのことで、まさに鬼に金棒となった指宿医療センターで再び働けたらと強く思いました。

 何より、一番驚いたのは”循環器科”である先生方が蜂窩織炎でパンパンの足を治療し、腰椎圧迫骨折の初療を行い、脳出血をめざとく見つけ鹿児島市に救急搬送するといったgeneralistぶりでした。指宿医療センターが指宿の基幹病院であり、地域を支える砦でもあるといった気概を持ち、専門外でも厭わず積極的に”患者”に関わる姿に医療の有るべき姿というものを再度考えさせられました。

 次の8月はプライマリーケアを学ぶという点で、自分自身が消化管領域に携わったことが無かったという経緯からも外科をローテートさせていただきました。

外科の先生方の携わられている領域も非常に広く、消化管、肝胆膵、呼吸器、乳腺、果てには外傷、熱傷まで治療されていることには驚きを隠せませんでした。様々な手術に入らせていただいただけでなく、先生方は本当に教育熱心で外科のエッセンスを教えようという心意気には感謝しきりでした。硬いお腹と硬くないお腹との違いをわかりやすく教えていただいたりと、今後の診療の糧になったと確信しています。

 外科の先生方も患者さんやスタッフからの信頼が厚く、その理由はやはりベッドサイドでの医療を実践されていることによるものだと気づかされました。毎朝行われる回診では、時間を惜しむことなく患者さんとコミュニケーションをとられていました。ローテートさせて頂いた一ヶ月間では回診が最も学ぶところが大きかったと思っています。

 また、消化器内科と外科に限らず全科間の垣根は無いに等しく、皆で飲み会が出来る規模であることの長所が最大限に活かされていると感じました。

 以上、長くなりましたが、先生方やスタッフの皆さんはなぜこんなに優しいのかと思うほど親切で気持ちよく研修をさせて頂きました。おいしいお店にも連れて行って頂いたり、飲み会の席で皆さんにプロポーズの方策を一緒に練って頂いたりと本当に思い出深い2ヶ月間でした。

 臨床力を伸ばしたい、プライマリーケアを学びたいと考えている研修医の皆さんには絶対にお勧めの研修病院です!勉強になり、楽しく、美味しく、湯けむりな2ヶ月間となることを約束します!