ホーム » 部門案内 » 診療放射線科

診療放射線科

診療放射線科

放射線科の診療機能は大別して以下の二部門に分かれます。

1. 診断部門
X線及び磁気を用いた検査・診断、一般撮影検査、X線CT検査、MRI検査、X線透視検査、血管造影撮影検査
2. 核医学部門
RI(放射性同位元素)を用いた検査

なお、地域医療への貢献といたしまして、地域医療機関との撮影装置、検査機器の共同利用も行っております。
ご希望される医療機関につきましては、当院放射線科または地域医療連携室までご相談ください。

当科の特長 ~がん検査の新しいMRI撮影技術DWIBS(ドウィブス)

  • 放射線を被曝することなく全身のがんのスクリーニングが可能
  • PET検査より安価で検査時間も短い
  • PET検査では検査困難な糖尿病患者でも検査可能

一般撮影

FPD(フラットパネルディテクター)装置を導入し、以前の撮影と比べて被曝線量を低く抑えることが出来ます。また、撮影と同時に画像の確認が行えるので待ち時間の短縮にもなっています。さらに高精細が画像でより正確な診断を行うことが出来るようになりました。

今回追加導入により、一般撮影を行う2部屋でFPDが使える体制となっています。また、病棟・手術場の撮影においてもFPDを用いることにより、その場で画像の確認を行うことが出来るようになりました。

胸部・腹部の撮影

胸部の撮影では肺の異常や形態、心臓の異常や大きさ、腹部では各臓器の状態、腸管のガス像、胆石や尿管結石等を調べることが出来ます。

ボタンや金具の付いている服や下着、ネックレス等の金属類、湿布などは外して頂く事があります。立位や臥位(寝た状態)、座位などの状態での撮影がありますので、担当技師の指示にご協力ください。

骨の撮影

捻挫や打撲、関節痛、骨折を疑う時、または神経症状による痛みが有るときなどに行います。

色々な方向から撮影を行うことが有りますので、担当技師の指示にご協力ください。

X線透視検査

X線透視検査では、バリウム造影剤を用いた胃透視や、肛門よりチューブを挿入しバリウム造影剤を注入して腸を検査する注腸透視、内視鏡を用いた胆嚢や膵臓の検査(ERCP)等の検査を行います。

当院の装置ではFPD(フラットパネルディテクター)システムを採用しており、従来の装置より観察視野が広く、関心領域の確認やポジショニングが容易に行えます。また、被曝量の低減にもつながっています。

胃透視

この検査では食道、胃、十二指腸の形状や粘膜の状態、飲み込みの流れなどを検査します。
バリウムを飲んで頂き、色々な方向から検査部を観ていきます。
胃壁の観察の為に発泡剤を飲んで頂き胃を膨らませて検査いたします。

ERCP

口から内視鏡カメラを胃、十二指腸を超えた先までを挿入し、そこから細い管で胆嚢や膵臓の検査行い、胆管に詰まった石を取ったり、胆管を広げたりする治療を行います。

X線CT検査 (Computed Tomography)

CT検査


CT(Computed Tomographyの略 / コンピューター断層撮影)とは、放射線(エックス線)を使用して体内を検査します。体を通り抜けてきたエックス線を機械で検出し、そのデータをコンピューター処理して体の輪切り(横断層画像)を作ります。

当院で使用しているCT装置(64列マルチスライスCT)は、一回の息止めで広範囲を撮影することが出来ます。胸部撮影で5秒~8秒、腹部撮影で10秒程度の息止めで撮影が可能です。病変を詳しく診るために腕の静脈からヨード造影剤という薬を注射しながら撮影することがあります。また得られた輪切りの画像データを元にして冠状断面、矢状断面、3D画像が作成可能です。

この装置の最大の特徴は、造影剤を使用して心臓の血管を撮影することができます。また、3Dワークステーションを利用して冠動脈の3D、MIP、CMPR画像を作成でき、解析と診断に貢献しています。

単純CT

造影剤などの薬を使わずに検査を行います。検査時間は5分~10分程度です。また、息を止めていただく時間は10秒前後です。この検査では食事の制限は有りません。

造影CT

詳しく診たい場合には撮影回数を増やしヨード造影剤を注射する場合がありますので、検査時間が長くなります。この造影剤を使用する事で検査目的部の性質や炎症、血管走行などを詳しく知ることが出来ます。

造影剤を使用する検査の時には午前中の検査では朝食を、午後からの検査では昼食を取らないようにお願いいたします。但し水分は必ずお取りください。(他の検査や水分制限が有る場合にはご注意ください。) 服用中のお薬については、医師からの指導がない限り通常通り服用されてください。

※特に糖尿病の薬(ビグアナイド系糖尿病薬)に関しましては、造影検査に対しての服用制限(当院では検査前2日間と検査後2日間の休薬期間をもうけています)がある場合がありますのでご注意ください。

撮影後の水分摂取をお願いいたします。使用した造影剤は尿と一緒に体外に出ますので、早めに体外に出すためにも多めの水分摂取をお願いいたします。

注意点

次に該当する方は検査ができない場合があります。事前に主治医もしくは診療放射線技師にご確認ください。

  • ペースメーカーや植え込み型除細動器を装着している(手帳をお持ちください)
  • 妊娠、または妊娠している可能性がある
  • 過去にヨード造影剤に対する副作用があった

MRI検査 (Magnetic Resonance Imaging)

MRI検査


当院の1.5T MRI装置は世界初のフルデジタルシステムのMRIです。従来のアナログ装置の画像に比べてより精細な画像を得ることができ、解剖学的構造を精細に観察できます。

MRI(Magnetic Resonance Imaging磁気共鳴断層画像)検査は、磁石が埋め込まれたトンネルの中に体を入れて、強い磁気と電波を用いて体内の任意の断層面を得る検査です。放射線(エックス線など)を使用しない検査なので、被ばくすることは有りません。

検査時間は部位によって異なりますが20分~50分程度掛かります。検査中は体を動かすことが出来ません。お時間が長いですがご協力お願いいたします。

食事は原則的に可能です。但し一部の検査(胆嚢・MRCP)では食事や飲水が出来ませんのでご注意ください。服用中のお薬は医師の指示がない限り通常通り服用してください。

フルデジタルの画像では肝実質を中心にノイズがなくなり、コントラストの向上や肝管や血管との境界を明瞭にします。

造影剤を使用しない場合でも、大動脈や抹消血管を描出することができるため腎機能が悪い方など、造影剤を使用できない場合にも有用です。

画像は下肢の動脈をMRIにて撮影した画像です。腹部の大動脈分岐部から両下肢の足関節までを撮影しています。この撮影においても、造影剤を使用せずに撮影を行い、下肢動脈の狭窄の有無や程度などの評価が可能です。また、全脊椎撮影が可能です。(約30分)

急性期の脳梗塞においても今まで以上に高精細な画像を提供することが可能となりました。

骨盤領域でもフルデジタルの画像はノイズを低減し、アナログ装置と同じ検査時間で高画質の画像を得ることができます。

単純全身MRI:DWIBS(全身拡散強調画像)

  • 造影剤を使わずに、頚部から骨盤までの検査をします
  • MRIの高性能化によって「全身のがん検査と炎症検索」が可能になりました。 同様の「全身のがん検査」を行うPET-CTと比較すると、PET-CTは悪性腫瘍(がん)がエネルギー代謝(糖代謝)の高いことに着目し悪性腫瘍を検索するのに対し、DWIBSは悪性腫瘍が細胞密度の高い(細胞と細胞の間が狭い)ことに着目し細胞間の水の動きをもとに悪性腫瘍を検索します。
  • 治療前の撮影、及び治療効果判定に役立ちます。
  • 検査前処置がほとんどありません。
  • 検査費用もPETの1/6で、患者さんの経済的負担が軽減できます。
DWIBSとPET-CTの比較
DWIBS PET-CT
被ばく なし 注射薬・CTの被ばく
注射 なし 検査薬の注射あり
食事制限 なし 検査前絶食・インスリン制限
検査時間 約30分 注射を含め約3時間
検査後処理 なし 放射線が減衰するまで待機
糖尿病患者 制限なし 検査できない場合あり
DWIBSの欠点について
  • PETと原理が異なるのでPETで病変が映ってもDWIBSでは分からないことがあり(特に肺や心臓周囲の病変検出が苦手)、炎症があるところや腸管内容物など、液体のあるところでも高信号として映ります。
  • リンパ節の良悪性の鑑別が判断できず、複数回検査を行って増大傾向の有無を経過観察する必要があったり、他の画像検査との併用が必要になったりします。

注意点

次項に該当する方は検査ができない場合があります。事前に主治医若しくは診療放射線技師にご確認ください。

  • 手術により金属等が体内にある方は手術をされた施設への確認をお願いします(ペースメーカー・人工内耳・血管ステント・動脈クリップ・人工関節・歯科インプラントなど)
    ※最近では条件付きでMRI検査対応なものがありますので、確認が必要です。
  • 高度の閉所恐怖症
  • 刺青・マグネット付き義歯
  • 妊娠または妊娠の可能性がある(3ケ月以内)

検査室は非常に強い磁場が発生している為に、以下のものは取り外して頂きます。

  • 金属類、補聴器、時計、携帯電話、メガネ、磁気カード、取り外せる義歯、磁石を使用している義眼、金属の付いた服、アクセサリー、ベルト
  • カイロ、エレキバン、カラーコンタクト、湿布、ニトロダーム、ニコチネル、マスカラ、アイシャドウ、ネイルなど
  • 電子機器類、クレッジットカードなどは検査室内に持ち込むと磁場の影響により使えなくなります。

物忘れ外来でのMRI検査

当院では物忘れ外来を行っていますが、その際、頭部MRI撮影も行っております。撮影時間は約20分で、仰臥位で休んでもらいます。検査を行うことにより、認知症の程度が数値と画像で判り、脳の状態(萎縮の程度)が判ります。

当院では、埼玉医科大学国際医療センター核医学科教授、松田博史先生監修のソフトウェア〔VSRAD・advance2〕を診断支援として使用させていただいています。

血管造影検査 (Angiography)

心臓カテーテル検査・治療の導入について

念願の血管連続撮影装置を導入いたしました。このことにより、指宿地域において急性心筋梗塞の患者さんを受け入れることが可能となりました。

平成24年12月20日から心臓カテーテル検査を開始しており、今後も地域住民の方々が安心して生活していけるよう役立てていきたいと思います。

心臓カテーテル検査とは

心臓に大腿部や肘等の血管から特殊な細いプラッチックの管(カテーテル)を挿入し、心臓内の各場所の血圧や心拍出量、血中の酸素含有量などを測る ことによって心機能を詳細に検査するほか、X線造影剤を注入して冠動脈の狭窄の状態などを映し出すことができます。また、このカテーテルを通したさまざまな治療も行われます。

カテーテル検査のイメージ

冠動脈と呼ばれる心臓の血管にカテーテルと呼ばれる管を直接通して検査・治療を行ないます。

対象疾患

心臓の病気は大きく分けると虚血性心疾患(急性心筋梗塞・狭心症)、心臓弁膜症、不整脈(頻拍症・徐脈)の3つに分類されますが、当該検査・治療 の対象のほとんどが血管の詰まりや狭窄から起こる急性心筋梗塞・狭心症といった疾患です。

そのほか、弁膜症などの後天性疾患、中隔欠損やファローの四徴症 などの先天性疾患、動脈硬化、動脈瘤などが対象となります。

検査内容

検査は大きく以下の2つに分けることができます。

  1. 心臓のポンプ能力と血液の成分を知る―血行動態の検査
    • 心臓各部の圧力、心拍出量を測定して、心臓のポンプ能力を調べる。
    • 局所的な血液を採取して、血液ガスや生化学的成分を調べる。
  2. 形や動きの異常を知る―造影検査
    • X線に写る造影剤を注入してX線撮影をし、心室の形態や動きを調べる。
    • 造影剤を注入して冠動脈を撮影し、狭窄の状態から虚血性心疾患の場所と程度を調べる。

治療内容

虚血性心疾患の治療は血管の狭窄が75%以上の場合に行なわれますが、狭窄部位・数などの症状・リスクに応じて薬物治療、カテーテル治療、冠動脈バイパス術(CABG)が選択されます。

カテーテル治療で行われる主要な治療法は以下のようなものです。

虚血性心疾患の治療(冠動脈インターベンション:PCI)
  • バルーン: バルーンを挿入して狭窄した冠動脈を拡張させる。
  • ステント: 拡張後の冠動脈にコイル状のものを挿入して再狭窄を防ぐ。

その他

(1) カテーテル検査・治療の合併症について

現在では安全性の高いものになっていますが、危険性は全くないという訳ではありません。

  • 血栓形成
  • 出血
  • 不整脈
  • 感染症
  • アレルギー性ショック
  • 急性心筋梗塞
  • 心タンポナーデ

など

(2) 検査時間について

一般的な検査は、約1時間で検査することができます。通常、冠動脈造影を左右それぞれと左心室造影を1セットで行いますが、患者様の病状や血管の状態により稀に1時間以上の検査時間を要する場合があります。

(3) 検査時の痛みについて

カテーテルの管を通す部位のみ麻酔(局所麻酔)を施します。血管に管を通す時は麻酔が効いた状態で行いますので、通常は強い痛みを感じることはありません。

核医学検査 (Radioisotope/RI検査)

核医学検査

核医学検査(RI検査/シンチ検査)とは、検査目的部位に集積するように作られた微量の放射性同位元素を含むお薬を静脈注射や経口により体内に投与し、目的部位にお薬が集まったところを専用のカメラで撮影し形態や機能の検査を行っていきます。
投与した放射性医薬品(アイソトープ)は、短時間(6時間から8日以内で半分になります)で放射線を出す能力は低下していきます。また、汗や、便、尿と共に体外へ排出されますので体内にずっと留まることはありません。副作用も極めて低いお薬です。
当院で主に行っている検査は、骨シンチ、肺血流シンチ、心筋シンチ、脳血流シンチ等です。

骨シンチ

骨の病気や炎症、レントゲン写真では分かりにくい微細な骨折などの診断に優れた検査です。この検査では、全身像を他の検査より短い時間で撮影できます。かつ、他の検査より早期の段階で診断できることからよく用いられる検査です。

放射性同位元素を静脈注射にて体内に投与します。注射後2~3時間後指定された時間に核医学検査室までお越しいただき撮影になります。水分・食事の制限はありません。

肺血流シンチ

肺動脈の血流障害を調べる検査です。肺の血管が詰まっている部位、血流が低下している範囲がわかります。

放射線同位元素を静脈注射にて体内に投与します。注射直後から撮影を行います。水分・食事の制限はありません。

心筋シンチ

心筋Tlシンチ

心臓に筋肉養っている血流の状態や筋肉の状態、心臓の動きを観る検査です。この検査は運動負荷検査、薬物負荷検査2種類の検査方法があります。

(1) 運動負荷検査
検査用の自転車を漕ぎ、心臓に負荷を与えながら検査を行います。
心電図や血圧を観ながら行います。
規定の負荷が掛かった時にお薬を静脈注射で体内に投与します。
その後、専用のカメラで心筋の撮影を2回(注射10分後と4時間後)行います。
(2) 薬物負荷検査
自転車を漕がない代わりにお薬で心臓に負荷を与えていきます。
心電図や血圧を観ながら規程の時間に静脈注射より体内に投与します。
その後、専用のカメラで心筋の撮影を2回(注射10分後と4時間後)行います。
心筋交感神経シンチ(MIBG心筋シンチ)

心臓の機能を調整している交感神経が正常に働いているかを診る検査です。
交感神経異常の診断が目的で、特にパーキンソン病またはレビー小体型認知症の評価などにも利用されています。静注後の早期像と4時間後の後期像の2回の検査になります。
(平成24年3月よりパーキンソン病またはレビー小体型認知症の診断のための心筋シンチグラムの適応外使用が認められています)

心筋脂肪酸代謝シンチ

心臓の運動エネルギー源である脂肪酸が心筋各部位に正常に取り込まれているかを診る検査です。

脳血流シンチ

脳血管障害の状態、認知症や変性疾患の診断、てんかん原因の検出などを目的として行われます。
検査台に寝ていただき、脳への影響を考慮しアイマスクをつけていただきます。
右肘の静脈より放射性医薬品を注射します。撮影は薬剤投与と同時に始まります。
頭部の周りをカメラが回転しデータを収集し、脳の断層像ができます。

物忘れ外来でのRI検査

物忘れ外来の検査後に、後日RI検査を追加する場合があります。脳の血流状態をみる脳血流シンチや、交感神経の異常をみるMIBG心筋シンチがこれにあたります。

脳血流シンチは静脈から放射性医薬品を注射し、専用のカメラで30分程度撮影します。MIBG心筋シンチは静脈から放射性医薬品を注射し、20分後に専用のカメラで5分間撮影します。4時間後にも5分間の撮影を行います。食事や水分等の制限は有りませんが、検査結果に影響が出ますので時間厳守でお願いします。

脳血流シンチ画像および認知症解析診断ソフトによる解析結果

当院では、埼玉医科大学国際医療センター核医学科教授、松田博史先生監修のソフトウェア〔e-ZIS Ver.4.0〕を診断支援として使用させていただいています。