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台風一過

 今回の台風10号により当院は大きな被害を受けました。
 暴風域に入った水曜日の夜、新病棟4階の談話室海側の大きな窓枠が外れ、強風と雨が4階エレベーターホールに吹き込む災難に見舞われました。
風速50m以上の風に窓枠が耐え切れなかったことが原因ですが、何故新病棟でこの事態になったのかを専門家に相談中です。

 病棟のど真ん中に台風の雨風が吹き込む前代未聞の状態でしたが、事態の収拾に多くの職員が奮闘してくれました。患者さんの安全、職員の安全、電カル機器などの保護、水浸しの廊下の保全、消防との連携など迅速で的確な行動に感心しました。
 また、この時間帯に4病棟ではお産があり、3病棟では急性心筋梗塞の患者さんが急変し大動脈ポンピング装着も功を奏さず、心臓破裂でお亡くなりになりました。まさに急性期病院の現場そのものでした。
 夜間は一時的な停電を繰り返していましたが、未明から持続停電になり病院全体の機能が大幅に制限され、木曜日は冷房の効かない病院内で多くの職員が各職場の補修に汗をかきながら奮闘してくれました。電源確保の重要性を痛感した次第です。

 台風一過で当院も落ち着きを取り戻しましたが、今回の被害でいくつかの気づきもありました。まず、災害用事業継続計画(BCP)を見直す必要があります。自家発電システムの再確認と発電機の刷新、広域災害救急医療情報システム(EMIS)の入力、運用の徹底、停電時の紙カルテ運用の再確認、電子ロックシステムドアの不備、自動センサー水道、自動水洗トイレの代替方法、断水時の水補給システムなど今後、大規模地震や津波、桜島大爆発などの大規模自然災害時の対応に関して具体的なシミュレーションが必要です。職員の皆さんの気づきや意見、アイデアなどありましたら是非、お知らせください。

 最期に私の感想です。 指宿医療センターは今後もやっていける病院だと感じました。職員ひとり一人が自分の病院としての自覚をもって働いている姿を度々目にしました。地域中核病院としての自覚と誇りを持った職員がいる限り当院は大丈夫だと自信をもって言えます。

令和6年8月30日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 鹿 島 克 郎