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指宿 菜の花 通信(No285) 田舎医者の流儀(260)・・・2025年9月

 この時期、私の農園では桔梗、桜ランの花が咲いている。雑草のつゆ草も可憐な青い花びらを付けている。9月中旬になっても酷暑が続いている。先日の東京の豪雨は酷かった、地下駐車場が水浸しになり、何百台の車が水没した映像が流された。近年は「観測史上最も暑い春や夏がほぼ毎年くりかえされている。この期に及んでもなお地球温暖化を否定する「評論家」がテレビに出てくる。彼らは言う「近年の異常気象の原因は二酸化炭素増加による温室効果ではなく自然変動だと」いう。まともな気象学者のほとんどが否定しているにも関わらず一部のスピンドクターがあり得ない説をまき散らしている、責任ある政治家がこのような無責任な説を信じ(?)温暖化の施策に反対しているのは信じがたい。こうした政治家の存在を許しているのも残念ながら国民である。

 1980年台の終わりごろ、「限界集落」という言葉が出てきた。限界集落とは、地域人口の50%以上が65歳以上の集落を指し、これは、若者の流出や少子高齢化の進行により、冠婚葬祭、農作業、道路管理といった社会的共同生活の維持が困難になりつつある状態を意味するという。この概念は、1988年に大野晃氏によって提唱された。最近「限界国家」という小説が発表された(楡周平著 双葉社)。我が国の人口は2020年の1億2,615万人から2050年には9,515万人となり、約3,300万人(約25.5%)減少すると予測されている。65歳以上の人口割合は、2020年の28.6%から一貫して上昇し、2070年には38.7%に増加すると見込まれています。

 人口が一億人を下回ってくるとその分内需は減少し、経済成長はおぼつかなくなる。そんな時代が間もなく来ようとしている。その中で、自民党の次期総裁選びが行われている。来週には結論の出る話だ。科学的事実が重んじられる政治を望みたい。一方的な「正義」をふりまわされては困る。社会のありのままを尊重し、多様性を尊重する政治をして欲しい。次世代に負担を強いるやり方は止めて頂きたい。

 人口減少の中で医療のあり様も大きく変わっていくだろう。鹿児島県でも地方の開業医の先生が閉院するケースが目立ってきている。大隅地方のある町では3つある医院のうち2つが閉院の見込みで、町は支援金を出して開業する医師を探している。今まで地方の医療を支えてきた開業医が頑張ってやろうとしても、経営が成り立たない事態になってきている。地方の開業医は子弟を医学校に出し跡継ぎを確保してきた。しかし、今や後を継ごうにも経営的にやって行けなくなってしまった。私の身近でも3代目として東京から帰ってきて後を継いでいたが、やって行けなくて鹿児島市内に開業したケースがある。人口減のなかで医療をどう確保していくのか知恵を出していかなければならない。

令和7年9月26日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦