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指宿 菜の花 通信(No275) 田舎医者の流儀(250)・・・門出

 4月になり、我々の循環器グループにも2人の新人医師が加わってきた。彼らをグループに熱心に勧誘した先輩医師と4人で飯食った。我々のグループは循環器を専門にするので当然循環器疾患を中心に研修して行くが前提は内科医であるのでその基盤の上に循環器疾患を研修して欲しい。循環器全般を研修してその中で不整脈分野、冠動脈疾患、弁膜症、心不全などのそれぞれの分野を専攻していくことになる。最初から特定の分野に特化せず循環器疾患全体を学ぶことが重要だ。「私は不整脈専門なので心エコーは出来ません」では、循環器医師としてはかたわなので、そういう育て方はしない。

 新人医師が内科・循環器疾患を全体として学びながら、専門分野のレベルの高い医師になってほしいと願っている。厳しい修練を要求されるところに身を置いてくれた彼らが成長できるように支援をしていきたいし、彼らの心意気の高さを「良し」として見守りたい。

 「鹿児島県は,本県の地域医療を担う医師を育成するため,将来,県内のへき地医療機関や周産期医療を担う病院等に医師として勤務しようとする医学生に対し,修学資金を貸与。貸与期間終了後に,一定期間,指定医療機関で勤務すれば,修学資金の返還が免除される制度を設けている」。一人当たり1000万の修学資金も貸与される。この制度では共通一次試験の成績で採用が決定し、二次試験は免除される。当然、一般入試の人に比べれば医学部入試は負担が少ない。

 地域枠で医学部に入ってきた場合医師になったら地域医療に貢献することが求められる。しかし、この制度を悪用する者も残念ながらいる。東京で理学療法士をしていた男がこの制度で入学してきた、面接では当然「鹿児島県の地域医療に貢献したい」と言った。ところが医師国家試験に合格し医師免許を得ると修学資金を返済し、さっさと東京に帰ってしまった。最初から医師免許を得るための手段としてこの制度を悪用したのである。

 医師が医師国家試験に合格した後、一般的な保険診療の診療科での経験を積まずに美容外科に就職する「直美」の美容外科医が現在急増しているという。医師としての基本的な訓練を受けていない美容外科医の急増は医療事故のもととなり憂慮される。美容外科医の年収は2,181万円、医師の平均年収1,596万円を大きく上回るといわれている。経済的理由でこの分野が肥大化するのはいかがなものかと思う。このような自己中の医師が見られる中で、グループに属した若い2人の医師が厳しい修練の道を選び、専門医の道を進むことに敬意を表したい

令和7年4月10日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦