2月はずーと寒かった。農園の安普請の小屋(室内)は朝、氷点下になっていることが多かった。朝行って温風機を付けるが、15℃位まで温まるのに約2時間位かかった、その間厚着のまま耐え忍ぶ。来年はもっと効率の良い温風機を買い求めるようかと考えている。北陸の大雪が深刻だ、「最近の温暖化が気候を極端にして豪雪になっている」とまともな気象学者は考えている。そのなかで地球を守るための最低限のパリ協定すら守ろうとしない政治家が出てきたことを憂慮する。
2月21日(金)の外来に68歳、19日より具合が悪いと来院された。昼過ぎ風呂に入ったら、入浴中に左手足が動きにくくなり、呂律も回らなくなった。一時したら良くなったので病院にもいかなかったと。気になったのか、2日後に受診された。もう手足のマヒも言語障害もなかったが病歴は明らかな一過性脳虚血を示す所見だ。診察すると脈は不整である。ここまでで心房細動、左房内血栓、脳梗塞が想定された。心電図、心エコー、MRI などをやり、裏付けを取っていく。心電図は心房細動、心エコーは心機能良好、有意の弁膜症なし、MRIでは右前頭葉に明らかな脳梗塞像を認めた。
この方の場合、生化学検査等は異常なく、心房細動→左房内血栓→脳梗塞という病態ですべてが説明できた。今後は脳梗塞予防と不整脈の治療が肝心と患者さんに理解してもらい、今回の発作が軽く済んだことをラッキーと受け止め治療を続けることが肝要と話した。
2月26日は80歳の方が近医で高血圧、糖尿病、甲状腺機能低下症、肝細胞癌術後、肝硬変などで治療中であるが、少しの労作で息苦しいとみえた。胸写で両側胸水が見られ、心電図大きな所見なし、心エコー心機能良好、BNP300弱あり心不全は間違いないようだ。心不全の原因は心機能もよろしいし一元的には言えそうでない。腎機能が中等度以下に低下しており、ヘモグロビン7.2で貧血あり、そうした複合で心不全になっていると考えられた。更にもう一つコレステロール108と低く、LDLコレステロールも52と低い。複雑な病態で必要な検査を行い、病態を理解していかねばならない、解明していく楽しみもある。
人の体は複雑であり、多くの臓器が関連しあっている。病はその中で起こってくる。一つの道筋でその病を理解することも出来るが、多くは互いの連関の中で考えなければならない。社会現象も同じようだ、単純にぶった切って行けるものではない。そんな当たり前を理解しようとしない人が多くなったのが悲しいね。
令和7年3月5日
国立病院機構指宿医療センター 総合内科
中 村 一 彦