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指宿 菜の花 通信(No271) 田舎医者の流儀(246)・・・トランプ時代の幕開け

 13日午後9時過ぎ自宅のソファーに座りテレビを見ていたら、激しい横揺れを感じた。日向沖を震源とする地震が起こった。宮崎市は震度5弱、鹿児島は震度4であったという。結構な揺れで吊り下げた電灯が大きく揺れた。今年の正月、寒さは酷かったが穏やかな日日であった。しかしこの列島そうそう穏やかにはいかないらしい、昨年の能登半島地震のように大きな被害は出なかったがいつ地震に襲われるか備えは怠れない。

 まもなくトランプの大統領就任式がおこなわれ、トランプ時代が幕あけする。さてどういう世界が表出されるのか、世界中が固唾をのんで見守っている。彼は第二次世界戦争後の様々の枠組みを認めない発言を繰り返している。デンマークの自治領グリーンランドの所有やパナマ運河の返還を求める発言をしている。『他国の領土をくれというのは、絶対にダメだとウクライナ戦争でも言っているのに、世界の盟主であるアメリカがグリーンランドをよこせ。しかも軍事的な行動も辞さない』と言うのは、いかにも荒唐無稽な過激発言と言わざるを得ない。

 トランプ氏にとって、関税の引き上げは、貿易相手国に対する強い交渉材料であるほか、関税収入の増加要因(関税は米輸入者負担)となる。一方、輸入者が関税の引き上げ分を輸入価格に転換すれば、輸入物価の上昇を通じて国内物価が上昇する恐れがあり、また、貿易相手国が米国に対し報復関税を課せば、関税の引き上げ合戦となり、世界的に貿易が停滞するリスクも高まる。戦後進められてきた自由貿易が一挙に破綻しそうだ。

 2016年の大統領選挙の選挙運動中から、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」から脱退することを公約に掲げ、実際に大統領に就任すると直ちに実行に移しました。今回も同じような挙に出ると考えられる。「ドリル、ベイビー、ドリル(掘って、掘って、掘りまくれ)!」トランプ氏は、雇用を生み出すためだなどとして、アメリカの石油・天然ガス産業を後押しすると主張している。そんなことをしたらこの地球はどうなるのか、世界中の殆どの気象学者の懸念など一顧だにしない姿勢に恐怖すら感じる。

 私が最も憂慮するのはトランプが「法」よりも自分を上に置いていることだ。法を守らない、自分に都合が悪いと法を無視する。西部劇で出てくる悪玉保安官と同じで、自分が法であるという。民主主義の基盤の一つである法による支配を無視して、国の統治は成り立たないだろうに。そんな大統領を選んだアメリカ国民はトランプの横暴を止めることが出来るのだろうか。

令和7年1月15日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦