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指宿 菜の花 通信(No258) 田舎医者の流儀(233)・・・愉しみ

 80歳の爺さんなので愉しい事が多いわけではない。それでも愉しいことは幾つかあるよ、それがなくちゃ生きていけないし。昨夜は若い先生が欧州の一流循環器雑誌に症例報告だけど掲載が決まったと言うので一杯やろうという事になった。携わった3名と飲み食いしながらおしゃべりした。楽しかったね。こういう宴会をやると食も進んで、いつもより多く食べてしまう。日々の食が細くなっているので、たまに食べれると嬉しい。

 日々の厳しい臨床をやりながら、論文を書いていくのは容易ではない。それでも論文を書きなさいと念仏のように唱え続けている。鹿児島医療センターの2循のチームは臨床的レベルは高い。不整脈チームのアブレーションは件数も多く、成績もよい。設備上の制約で半年後迄予約が詰まっている。その成績を論文にして発表しないとただそれだけでは評価されない。医学界で評価をされるためにはその成績を公表する必要がある。

 TAVI、僧帽弁クリップなど弁膜症治療も多数例を行い成績もよろしい、しかしこれも論文化が遅れている。冠動脈形成術、心不全治療、救急治療なども外から見ると高いレベルで行われている。県民に高いレベルの循環器診療を提供できていることは誇らしいが、それだけでは客観的に評価されない。論文化して信を問うべきである。嫌われるかもしれないが、レベルの高い臨床を提供しているという「うぬぼれ」だけではだめだ、成績を客観的に「論文」と言う形で示すべきだと言い続けている。論文が出来ると嬉しいし、それをネタに一ぱいやるのが老体の愉しみだ。

 最近の密かな愉しみは「オーイトンボ」と言うマンガを読むことだ。鹿児島県のトカラ列島で育った天才ゴルフ少女・大井とんぼが、職を求めて島にたどり着いた元プロゴルファーの五十嵐に才能を見出され、競技ゴルフの世界へと羽ばたいていくスポーツ漫画である。現在50巻位の単行本になっている。私は現在20巻のところを読んでいる。

 トンボはゴルフ好きの両親がゴルフに行く途中、自動車事故に会い亡くなる。親戚は誰も引き取ろうとしない。トンボはトカラのおじいちゃんのところに行くことになった。両親の形見の3番アイアンを持ってトカラに来た。島民が作った数ホールのゴルフコースで遊ぶようになる。素人に最も難しい3番アイアンでバンカーショットなど身に着けていく。原作者は元プロゴルファー志望でそれなりの練習を積んで来た人である。従って、マンガの中に出てくる技術的解説も面白いし、参考になる。登場人物は個性的でこの漫画の魅力の一つだ。

令和6年7月17日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦