同級生の友人が5月中旬、激しい胸痛に襲われ、鹿児島医療センターに搬送された。解離性大動脈瘤で入院処置を受けた。幸いに解離の範囲は限局し、緊急手術になる事もなく内科治療で収まった。血管系の救急病は心筋梗塞、脳梗塞など一分・一秒を争う疾患で、速やかな治療対応を要する。それに対応できる内科・外科チームがあり、実績のある病院に搬送できることが求められる。
心筋梗塞であれば一刻も早く閉塞した冠動脈をカテーテル治療で開放し、心機能の低下を防止できる。脳梗塞も多くの事例が早期の閉塞部分の解除で脳梗塞の範囲を狭く出来る。従って、激しい胸痛があり心筋梗塞が疑われたら、心電図などで診断し可能な限りカテーテル治療の医療機関に搬送すべきである。余計な検査などで時間を浪費する間、心機能は悪化していく。採血結果を待ったり、鑑別診断のためと称してCT/MRI検査などを行い、時間を費消すべきでない。脳梗塞も同様である。いかに早く治療の出来る病院に搬送できるかをまず一義的に考えるべきである。診断が確定するまで待てば待つほど患者さんの利益にならない。残念ながら一部の救急病院でこのことを理解していないと思える対応がある。
例えば、心筋梗塞が鹿児島医療センターに搬入されると直ちにカテーテル治療が開始される、約30分以内で閉塞部位が解除され心機能の低下が阻止される。ようはそれが出来る体制になっている。患者さんが搬入されてから医師、看護師などのスタッフが揃えられるのではなく、患者さんが搬入されたら即治療の体制が取れる。そのレベルに三次救急を扱う病院はあるべきである。鹿児島医療センターはそのレベルにあるが整形外科がないため救急・救命センターの指定は受けられない。
救急救命センターは「原則として、重症及び複数の診療科領域にわたるすべての 重篤な救急患者を24時間体制で受け入れるものとする」と規定されている。救急救命センターはすべての救急疾患に対応しなければならない。当然、それが可能な診療体制、機器整備がなされていなければならない。例えば、消化器内科、産婦人科、脳内科医師が0ないし1~2名ではではその要件を満たしているとは言えまい。
現在、鹿児島市の某病院が救急救命センターの指定を求めている。県医療審議会で検討されているが医療現場からとても「すべての重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる」実態にないと強い反対意見が出ている。それでも県知事さんは「認定」を急いでいるようだ、医療関係者の強い懸念は無視されている。
救急救命センターは県民の命を守る砦である。その能力に疑念があってはならないし、安心して任せられる施設でなければならない。知事をはじめ行政は単独ではそこいらの判断は出来ないはずだ、医療関係者に良く意見を聞き決定すべきではなかろうか。
令和6年7月3日
国立病院機構指宿医療センター 総合内科
中 村 一 彦






