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指宿 菜の花 通信(No255) 田舎医者の流儀(230)・・・・歩くしかない

 早いものでもう6月末になった。この月になると甲突川のアユ釣りが解禁となり、例年ならバスから釣り人の姿を見ることが出来る。ところが今年はどういうわけか一人も見かけない。農園には今年も鮮やかな紫色の桔梗が咲き始めた。数年前に植えたのが今年も咲いてくれた。この時期は紫陽花も咲く、桜ランも2房開花し、あと10房位は咲きそうだ。朝農園に着いて、何の花が咲いているのか見まわすのが楽しい

 私は車の免許証がない。自家用車を持ったことがない。家人も無免許なので我が家には車がない。私が医学年の頃、車をもっている同級生はまだ少なかった。卒業してから多くの同級生が免許取り、車に乗るようになった。私は卒業して医師になり、間もなく久留米大学病院に循環器病の研修に行き、帰ってきて循環器グループの立ち上げを計った。そちらに関心が向いていたので、車免許を取とうという事に気が向かなかった。もっとも、大学病院で仕事をしていて、車で遠出をする必要性を強く感じなかった。気が付いたら、周りは皆車を乗っているのに私は無免許のままであった。娘が大学に入って、帰ってきて言うには友達の家は「よく家族旅行に出かけた話をするけど、我が家は殆どしなかったよね、車もなかったし」と言っていた。

 大学病院を辞めて、現在の鹿児島医療センターに平成4年から勤め始めた。城西の自宅から歩いて通勤した。新上橋を渡り、城山のすそ野を歩き、黎明館を横切って病院に辿り着いていた。桜の季節は県立図書館や黎明館の桜並木の下を歩いた。黎明館の裏には桐の花も咲いた。日常の生活で車が無くて困る事はあまりないがゴルフに行く時は迷惑をかけている。ただ、車無しは皆理解しているので、私とゴルフするときは送り迎えしてくれた。週二回は指宿医療センターに15年通っているがそこもJRで行っている。

 8年前小山田に小さな農園を作った。週4回はそこに通っている。朝バス停まで歩き、バスに乗って農園近くのバス停で降りて、そこから農園迄歩く。農園は結構な高台にあるので登坂を歩く、着くとフット一息つく。帰りもバスで帰るので往復約4600歩になる。週1はゴルフするのでそれ位は歩く。そんなわけで週5日は5千歩弱歩くことになる。私の日常は歩くしかない、車に乗らないお陰(?)で歩きが保証されている。糖尿病持ちの私の健康はこの歩きが支えてくれているのかも知れない。最近はとぼとぼ歩きにならないように背筋を伸ばして、大股で歩くように努めている。歩く姿が年寄りっぽくならないようにと自戒している。そんなんで、歩きが好きだと思われるかもしれないがそうでもない、坂道はきついし嫌だなと思う事も多い。それでも歩かざるを得ない日常だ。

令和6年6月26日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦