ホーム » コロナ 1年 ー 持続可能な地域医療を目指して ー

コロナ 1年 ー 持続可能な地域医療を目指して ー

 2020年の幕開けと共に世界は新型コロナウイルス感染症パンデミックに翻弄され、約1年半が経過しました。2021年7月、1年遅れで東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定ですが、都市圏や沖縄ではまだ医療現場はひっ迫しています。私たち医療者は感染症や災害などの有事にどの様に対応すべきかを改めて考えさせられた1年だったと思います。

 九州の国立病院機構の中でも4病院で院内クラスターが発生しました。PCR検査等を徹底しても潜伏期間ですり抜けることもあり、感染防御がいかに困難であるかが判明しました。そんな中、当院では幸い院内クラスターを経験せず現在に至っています。職員ひとり一人が職場や家庭で感染予防を徹底し継続してくれていることに深く感謝しています。  当院の近況をお伝えします。職員の92.9%がファイザー社製のコロナウイルスワクチン接種を終了しました。また、当院かかりつけ65歳以上の患者さんのワクチン接種が始まり、約900名の方が7月中にワクチン接種を終える予定で、7月10日(土曜日)には集団接種も計画しています。  昨年10月から新型コロナウイルス感染症重点医療機関(指宿地区では当院のみ)として2病棟が専用病棟として15床の即応病床で稼働し、現在まで53名のコロナ感染患者の入院治療を行いました。当院では酸素投与が必要な中等症IIまでの患者さんを治療し、重症患者さんは鹿児島大学病院と鹿児島市立病院と連携し紹介する体制をとっています。現在、有効とされる治療薬は、デキサメタゾンやレムデシビルでこの治療薬で重症化を免れた患者さんを10名経験しました。しかし、ワクチン接種を可及的速やかに行うことがパンデミックの収束に最も有効な手段ですので、しばらくはワクチン接種に全力を尽くす必要があると思います。  6月6日から白澤副師長が沖縄の新型コロナ感染症重点医療機関の治療支援に派遣されました。約1か月間の予定ですが、到着まもない彼からの報告では、病院全体が沖縄の患者さんを助ける雰囲気で満ちているとのことでした。  当院も1年半にわたる新型コロナウイルス感染症との戦いの中で、職員がそれぞれの立場でチーム医療を継続してくれています。地域の患者さんの健康を支えるためには、職員がまず健康でなければなりません。仕事を集中して行い、しっかり休養をとる、このオンオフが重要です。 将来にわたって持続可能な地域医療を提供していくために職員一丸となって力を合わせていきましょう。  

令和3年6月14日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 鹿 島 克 郎