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整形外科外来開設

 今年の7月は東京オリンピックで世の中が活気づくはずでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で社会全体が一変しました。中でも我々医療従事者には心身ともに大きな負担がかかり、当院の接触者・帰国者外来では、受診者34名のうち15名でPCR検査を行い、コロナ感染症疑い患者を9名入院させましたが、幸い全員陰性でした。また、6月から抗原検査が可能になり、3名で陰性でした。

 当院の感染対策チーム(ICT)の努力の甲斐あって、感染症対策マニュアルやフローチャートがブラッシュアップされ、個人防護具(PPE)の着脱方法の教育ビデオは、医師会にも配布しました。また、8月中に新たな陰圧室を25室整備する予定になっており、新型コロナウイルス感染症の第2波に向けての対策を進めています。この感染症の終息には数年を要すると考えられますので私たち医療者には地域医療を守る覚悟が必要です。

 さて、令和2年9月に整形外科外来を当院に開設します。

 整形外科外来を担当する 織田 弘美 先生は、昭和45年、鶴丸高校卒業、昭和51年、東京大学医学部医学科卒業後、平成10年、東京大学医学部付属病院整形外科助教授を経て、平成16年から 埼玉医科大学整形外科学教授として活躍され、平成28年からは埼玉医科大学病院 病院長として多忙な業務に携わってこられましたが、令和2年7月、定年退職後、地元である鹿児島の地域医療にご尽力いただくことになりました。

 日本専門医機構整形外科専門医・指導医であるとともに、日本リウマチ学会専門医・指導医として専門医育成にも尽力され、日本リウマチ学会をリードしてこられた先生です。

 この様な実績のある先生が何故、当院に来ていただけるかと言いますと、織田先生は南さつま市坊津出身で、名誉院長の中村一彦先生や私と同郷の縁があり、お願いすることになりました。  また、高校、大学の同級生の幹事役をされる実に気さくな先生ですので皆さんも気軽に声をかけて下さい。指宿医療センターでは、非常勤医師として週2回(水、金)、整形外科外来診療を行います。慢性関節リウマチ以外にも整形外科一般領域も担当されます。

 指宿地区には、単科の整形外科病院がありますが、急性肺炎などの感染症や消化器疾患、心不全など全身性疾患のために対応困難な状況が多々あります。

 交通外傷の救急患者では、まず当院でトリアージをしている現状があり、当院に整形外科を開設することは喫緊の課題になっています。現在、鹿児島大学医学部整形外科とも連携をとり、医師派遣をお願いしている状況ですが、今回の整形外科外来の開設は、その新たな第一歩と言えます。併存疾患の多い高齢者を地域で支える中核病院として、指宿医療センターが貢献できるように多職種連携をさらに深めていきましょう。

 

令和2年7月1日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 鹿 島 克 郎