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他職種チーム医療

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
  今年は子年でオリンピックイヤーです。1964年の東京オリンピックを機に日本は高度成長期を迎えましたが、2020年東京大会では、“スポーツで世界と未来を変える”をテーマに社会にポジティブな変革をもたらすことを目指しています。
 今年の春以降は、オリンピックとパラリンピックの話題で社会は盛り上がりを見せるでしょう。そこで、世界各地から日本を訪れる外国人をどのように“おもてなし”するかも重要になります。
 医療現場でも外国人患者に対する対応を充実させることが急務になってきました。指宿は温泉観光地とあって以前から中国、台湾からの旅行者が多く、中には救急外来に搬送される方も時々います。冬場のヒートショックが原因のこともありますが、過密日程による疲労と塩分摂取過多(旅行中の食事は美味しいですが塩分が多い傾向にあります)などが原因で急性心不全を発症する旅行者もいます。
 最近、救急外来での言葉の問題は、SNSを駆使してクリアできることが多くなりました(台湾の方は、漢字の筆談で問題なしです)。しかし、心のケアに難渋することが多々あります。病気に対する不安だけでなく、急な日程変更を余儀なくされたことで、患者さんの精神状態が不安定になっているからです。同伴しているツーアーガイドさんが協力してくれますが、われわれ医療従事者も彼らの精神的なサポートまで配慮する必要があり、そのためには、日頃からの多職種チームで取り組む準備をしなければなりません。
 オリンピックイヤーの今年、多くの外国人を日本に迎える事になりますが、外国人患者さんにも優しい医療機関を目指してチーム医療を磨いていきたいと思います。

 さて、昨年12月、第7回指宿医療センター市民公開講座を開催しました。 テーマは“ふれふれフレイル予防”で、高齢者を中心として175名の参加がありました。フレイルとは、加齢により心身が老い衰えた状態のことです。
 講演では、ロコモ体操や認知症との関連、食事でのフレイル予防、慢性腎臓病など、4名の演者(理学療法士、認知症看護認定看護師、管理栄養士、腎臓内科医)が熱く語ってくれました。高齢者の再入院を予防するためには、病気の治療だけではなく、患者さんの生活習慣や家庭環境、家族構成まで理解し、多職種が連携して取り組む必要があります。そして病気発症の上流にある高齢者のフレイル予防を積極的に行うことで地域社会の健康寿命を延伸できるでしょう。
 真剣に多職種チーム医療に取り組む1年にしたいと思います。 

 

令和2年1月1日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 鹿 島 克 郎