独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

指宿 菜の花 通信(No156) 田舎医者の流儀(131)・・・役に立たない

2020年10月8日(木) 菜の花通信

 農園のキンモクセイが9月の最終週に花を付け、その匂いと共に秋の訪れを知らせてくれた。庭には夏の花のハイビスカス、すずらん、オクラの花などがまだ咲き、夏から秋への季節の移りを知らせてくれる。私の行くゴルフ場(蒲生町)の途中、道路際に5m位の大きなキンモクセイの木があり、銀色の花がその表面を覆いつくす、満開時はことのほか美しい。

 最近読んだ本で、「役に立たない」科学が役に立つ(エイブラハム・フレクスナー、ロベルト・ダイクラーフ著 初田哲男監訳、野中香方子+西村美佐子訳 東京大学出版会)が面白かったし、勉強になった。現代生活に欠かせないGPSには100年前アインシュタインが示した相対性理論が使われ、実用化されているのだそうだ。宇宙を高速で回転する人工衛星の信号を地上で受信し、正確な位置情報を得るには相対性理論に基づく補正が欠かせないなんて知らなかった。

 著者のひとりエイブラハム・フレクスナーは米国プリンストン高等研究所の初代所長で、「講義や管理業務のない・・・最高レベルの研究者が日常の雑事や実務的な仕事から解放されて、思索に没頭できる環境・・・役に立たない知識を誰にも邪魔されないで探求する」研究所を目指した。ヒットラーの台頭でヨーロッパを出ざるを得なくなったアインシュタインを迎い入れ、更に、同様にハンガリーの数学者ジョン・フォン・ノイマンを迎い入れた。彼は「宇宙人かと思うほどの天才で、アインシュタインを凌ぐほど優秀であった」「量子力学の数学的基盤の確立、今日のコンピューターの基本的概念作りに貢献した」という。

 アインシュタインは「創造力は知識よりも重要だ。知識には限界があるが、創造力は世界を覆う」「重要なのは、疑問を持ち続けること。知的好奇心は、それ自体に存在意義があるものだ」と言う。素直に疑問と向き合い研究することが大事だが、最近の大学・研究所ではすぐ成果の出る研究しか認められない。特に基礎的な研究は、研究費の獲得が難しい。これは世界的な傾向であるが、日本はその傾向が更に強く、次世代のイノベーションに繋がる研究は続けることが困難だ。優秀な人材が研究に専念出来る環境を作っていくことが、日本の将来を明るくするのではなかろうか。

 最近、政府は「日本学術会議」の新会員について、会議が推薦した候補者105人のうち6人を除外して任命した。任命を拒否された学者は何らの形で政府の方針に批判的意見を表明した学者だ。ロベルト・ダイクラーは言う「思慮に欠けた人物が制約のない自由な学問の重要性を疑問視する事がある」「真の敵は、人間の精神を型にはめ、翼を広げさせないようにする人々なのだ」と。

令和2年10月7日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦


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